その兄弟の数は、日に日に増えてきました。
最初、おデブの大胆不敵な態度は、他の兄弟たちには信じられない行動のようでした。
その為、連れて来られた兄弟ネズミ達の警戒レベルは相当高く、人の気配がするだけで、急いで筒から安全地帯へ走って逃げていました。
| 人間の気配に気付き、うまく滑り込みで逃げ切ったつもりのネズミ |
しかし、これほど警戒レベルをMAXまで高めているにも関わらず、誰一人と兄弟が捕まらない様子を見て、どうやら本当に安全な穴場らしいと、ネズミ達は思い始めてきたようでした。
ネズミの兄弟たちは、次第に一列に並んで、順番を待ちながら、この筒を訪れるようになりました。
ここまでネズミに闊歩されながらも、手も足も出ずに眺めているだけの日々が続き、とうとう新たなネズミの誕生もあったようで、小さな子ネズミまで姿を現すようになりました。
ここまできた時、こんな生ぬるい罠では捕獲する事すら出来ない、既に赤ん坊まで生まれているし、ネズミの死体も、どこかに沢山あるに違いない、と、マウスキー家の中で一抹の不安がよぎり始めました。
しかし、あくまでも生け捕りにしたいのであって、粘着式のネズミ捕りで殺したくはなかったのです。
不衛生ではありますが、恐怖を伴わない生き物をむやみに殺したくはありません。
生け捕りにして、山へ逃がせば、鳥か蛇の餌になったり、或いは餌にならなくても、土に還って土の栄養になります。しかし、人間の手で害として殺されれば、生ゴミ行きで、焼却炉行きです。最悪の場合でない限り、マウスキーはこういった無駄な殺生をしたくありませんでした。
こうして、頭の中で考えているだけで、日数だけ経ち、春になってネズミ達が出て行くのを待ったほうがいいかもしれない、と諦めかけた時でした。
ちょうどその時、マウスキー家は夕飯時でした。
ガサガサ、ゴソゴソ……
と、袋の音が聞こえ、ネズミの音だと気付いたのですが、食事中でしたので、とりあえず気にしない事にしました。
しかし、一向に袋の音は鳴り止まず、どうも台所のゴミ箱付近にいる気配でした。結局、気になって仕方がなかった母マウスキーは、立ち上がって台所へと向かいました。どうせネズミに逃げられてお終いだと思っていたのですが、これが全てのきっかけとなったのでした。
袋を鳴らしていた犯人は、やはりネズミでした。それも小さな子ネズミで、ゴミ袋の中に落ちて出られなくなっていたのです。マウスキー家は初ネズミの捕獲に、大いに盛り上がりました。
取りあえず、その辺のケースに入れておく事にし、暖かい春が来るまで様子を見る事になったのです。
翌朝、小さな子ネズミは、ケースの中から逃げ出そうと、ケースの蓋に何度も体当たりをしており、小さいながらその野性の末恐ろしさを見るようでありました。その為、もう少し大きいケースを用意することにしました。
ケースを買いに行った時、姉マウスキーは回し車やお家もいると提案し、子ネズミを飼う気でいました。マウスキーはこれに反対をしたのですが、姉マウスキーの決心は固く、飼うことは当然だったようです。
そして、極めつけに子ネズミは「マメツブ」と名前をつけられました。
これが、マメツブの映像です。
何を食べさせていいのか分からず、とりあえずパンと焼き芋を食べさせていました。
全ての転機になったのが、爺マウスキー考案のネズミ捕りでした。
それは、遠隔操作で瞬時に筒の蓋が降りてネズミの逃げ口を塞ぐ、という代物です。この兵器を作るのに、爺マウスキーは朝方までかかったそうですが、その威力は目覚しいものでした。
何と、マウスキーが仕事に行った間に、子ネズミ達はどんどん父マウスキーと爺マウスキーの手で乱獲されていたのです。そして、マメツブ1匹だったのが、あっという間に8匹に増えてしまい、一体どれがマメツブか分からなくなってしまいました。
しかし、面白いもので、8匹のネズミにもそれぞれ個性があり、次第にマウスキーにも見分けられるようになってきました。名前もそれぞれあります。紹介します。
マメツブ:最初に捕まえたネズミ。
マメ:マメツブと一緒にいる仲良し。
車大好き:回し車が一番好きで、何かと車に飛び乗ってくるネズミ。
名人:車回しの名人で、誰よりも上手に回し車を回すネズミ。
弟子:名人といつも一緒に車を回し、回し車を練習しているネズミ。
仲良し:いつもくっついて、共に行動をする2匹のネズミ。
はっちゃん:8番目に捕まえた一番小さいネズミ。
そして、遂に8匹のネズミを春まで収容する、「ネズミの強制収容所」が完成したのでした。
この「ネズミの強制収容所」という施設には、豊富なご馳走や、娯楽がたくさんありますが、自由がありません。
そのため、自由を得られないネズミ達は、唯一の娯楽である回し車を取り合いし、精神安定を行っていました。
その中でも、賢い奴というのは必ず存在するものです。そのネズミ達は、決してそんな娯楽に惑わされる事もなくも、いつも施設からの脱走を試みていました。
しかし、このネズミの強制収容所はガードが厳重で、決してネズミの脱走を許しはしませんでした。
結局、8匹のネズミはこの強制収容所で、1カ月という時間が流れていきました。
| ダイナミックに回し車を回しています |
| 父マウスキー作の蓋にしがみつくネズミ |
| 父マウスキー作の滑り台を楽しむネズミ |
| 爺マウスキー作の空中ブランコで脱走をはかるネズミ |
| ちょっとした物音でも警戒します |
| 主食はチーズと焼き芋でした |
| 最大級に恐い時のネズミは、このように動かなくなるそうです |
| 何故こんなに団子になってるのでしょうか… |
| 針金に掴まってよじ登っています |
| どうしても自由への想いは捨てられないようです |
8匹を捕獲した事により、他のネズミ達は一気に警戒態勢をMAXまで引き上げました。
ネズミの走る姿は、再び影に変わり、その姿をなかなか見る事が出来なくなってしまったのでした。
つまり、爺マウスキーの作った罠では、捕まえる事が出来なくなってしまったということです。
しかし、マウスキーと姉マウスキーは、満足がいくまでネズミの観察が出来るので、8匹である程度満足してしまいました。そして、いっそ逃がす事をやめて、このまま飼っても問題なんかないんじゃないかと考え始めていたのです。
そうした甘い考えを覆したのは、その後のことでした。もう2度とネズミを捕獲する事は出来ないと思っていた矢先、思いがけず捕獲された9匹目のネズミ…このネズミこそ、安定していたネズミの強制収容所の存在を危うくするものとなったのでした。
つづく
最後に、マメとコマメの近況報告です。
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| 相変わらず仲良しのマメとコマメ |
m24oさんから聞いたお話にヒントを得て撮ってみました。トイレットペーパーの芯の中にいるネズミです。
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| マメの毛づくろいをしてあげているコマメ |
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| ピアノの上のコマメ |
これは、別にこれといった特別な理由のない撮影です。単に、白黒なので、ピアノの鍵盤の上で遊ばせてみただけです。
けれど、コマメは黒鍵のデコボコしたあたりがとても気に入ったようで、しばらく遊んでいました。



トイレットペーパーの芯の中で毛繕いされているマメさんのウットリ顔がたまりません〜
返信削除こんにちは、m24oさん。
返信削除マメは相当気持ち良かったらしく、毛繕いが終わった後も、しばらく1匹でうっとりしてましたよ。